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Serenade1 [小説]

 関係を深める事に躊躇していたのは、どちらだったのだろうか。
 俺は自分が想いを寄せている女性に今夜逢う約束を取り付け、集合場所へと向かうべく電車に乗っていた。ドアの傍に寄り掛かりガラス越しに流れる風景を見ていたが、考えるのは全てこれから逢う彼女の事だけだった。
 彼女と言っても、恋人関係ではない。俺の認識だと、友達以上恋人未満というのが一番しっくりくる。
 初めて会った時から、彼女は不思議な雰囲気を持つ女性だった。陶磁器の様な肌と艶やかな肩の辺りで揺れる黒髪を備えた容姿は、名画から抜け出たように整った美しさで神々しささえ感じたのを昨日の事の様に覚えている。古風な口調も特徴的で驚かされた。
 妹の知人として知り合ったけど、妙に気が合ってよく話をするようになって…自然と俺の中では傍に居て欲しい存在になっていた。今では彼女の全てが愛しい。『宵』と呼ぶその声も、俺を映す瞳も、服越しでも分かる細い腕も。
 彼女に逢ったら、まず始めに何を言おうか。何時もと同じく差し障りの無い話から始めるべきだろうか。
 はっきり彼女に想いを告げるという今回の目的を忘れない程度に、俺は頭の中で予定をシミュレーションし始める。車窓を流れ過ぎていく景色は、何時しかイルミネーションが目立ち始めていた。


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